2020年10月8日木曜日

ミヤマシジミの近況報告(4件)

 今年は7月の長雨やそれ以降の猛暑続きの異常な気候で,ミヤマシジミの1化と2化の発生時期がずれ個体数も少なかったのですが,やっと8月後半から第3化の成虫が元気な姿を見せてくれています.私の調査写真や会員の皆さんからのレポートを4件紹介します.

(1) 静岡の佐々木逸郎会員からのレポート

本日早朝(9月13日),天竜川河川敷(静岡県浜松市)の生息地に行ってきました.朝から雨で1時間ほどで上がりましたが,その後も曇りであいにくの天気となりました.それでも成虫は傷んでないのも多く,20頭以上見ました。荒神山ほどではないですが,そこそこ飛んでました.

ミヤマシジミ♂(2020年9月13日,静岡県浜松市)

ミヤマシジミ♀(2020年9月13日,静岡県浜松市)

幼虫は10頭以上見つけました.アリが近くにいるのでとてもわかりやすいです.若齢から終齢までまちまちですが,比較的に草むらの中よりも切れ目のコマツナギに多く見られました.またコンクリートの隙間の小さいコマツナギにもいました.葉も少ないし天敵に見つかり易いのに,ちょっと不思議です.

ミヤマシジミ幼虫(2020年9月13日,静岡県浜松市)

上空からの生息地の状況

上空からの写真ですが,上が陸側,下が川側(天竜川)です.生息地は上部の土手と下部のコンクリート道の少し上(移植した方)になります.初めてドローンで撮りましたが,荒神山も出来たら上空から撮りたいですね.(文,写真:佐々木会員)

(2) 辰野町の荒神山保護区

8月4日,長雨と日照不足で農作物に大きな影響が出ています.昨年は例年より遅い7月30日が2化のピークでしたが,今年のミヤマシジミ発生状況は,7月29日に87頭,8月2日に118頭と更に遅れが出ています.今のところ発生数は昨年と大差がないようですが,2化前半の♀が悪天候の連続で産卵が充分に行えなかったことも考えられます.その結果として3化の発生数や時期にも影響が出るかもしれません.コマツナギの花つきも例年より悪いようです.

9月13日の荒神山ミヤマシジミ観察会,開始前の雨,どうなることかと思いましたが止んでよかったです.乱舞が見られず残念でしたが、少数でも活動が見られたのが救いでした.

観察会で


観察会の日に少し傷んだオスですが,アップで吸蜜の動画が撮影できました(中村)


10月1日,荒神山の発生状況は今のところ昨年より個体数約15%減(7月の長雨の影か).(文:土田秀実会員,写真:中村寛志)

(3) 伊那市横山地区の保護区

伊那市の横山ミヤマシジミを守る会(中村新一会長)では,今年は鳩吹公園の保護区に新たにミヤマシジミの看板を設置.また自分の田畑の畔などにコマツナギを植えてミヤマシジミを保護していくオーナー制を取り入れる活動を開始している.

鳩吹公園公園のミヤマシジミ保護区で
(市民の森昆虫採集・観察会,9月19日)

今年から始まったミヤマシジミオーナー制による
保護活動(横山ミヤマシジミを守る会)

ミヤマシジミ♀,9月22日伊那市横山の保護区

(3) 上伊那市クリーンセンターの保護区
 
伊那市富県にある上伊那クリーンセンターのミヤマシジミ保護区は,今年の異常気象の影響で1・2化の発生数が極めて少なかった.3化の発生は少ないながら,9月29日に5個体確認できた.(文,写真:中村寛志)

ミヤマシジミ♂,まだ新鮮であった.9月29日

♀個体,産卵場所を探索中

保護区看板と新設の上伊那クリーンセンター,
高遠の桜をイメージしたピンク色の建物