2016年12月5日月曜日

平成28年度ミヤマシジミ研究会報告

公開講演会
 
 平成28123日(土)に平成28年度ミヤマシジミ研究会 公開講演・研究発表会・総会を南箕輪村のフォレスト大芝で開催しました。研究会の平成28年度の事業の一環で、会員ら約40人が参加。「みんなで里山の小さな命を守ろう」をテーマに、伊那谷の自然やミヤマシジミの生態について理解を深めた。
 
1330 開会挨拶 中村寛志会長 

1335 基調講演   「伊那谷の里山にくらす生き物たち」  
                                    四方圭一郎氏(飯田市美術博物館)


基調講演をする飯田市美術博物館の四方圭一郎氏

 飯田市美術博物館の四方圭一郎さんが「伊那谷の里山の貴重な生き物たち」と題して基調講演。伊那谷の里山環境を▽天竜川とその支流の河川敷▽上伊那の山麓沿いの水田ののり面などの半自然草地▽伊那谷南部の丘陵地域▽伊那谷南西部の小規模湿地伊那谷南部の照葉樹林帯―の五つに分け、それぞれ生患するチョウやガを紹介した。伊那谷にはミヤマシジミ以外にもヒメシジミ、ギフチョウ、ヒサマツミドリシジミなど多彩なチョウの仲間が生息していることを説明。その上で、チョウの減少は人間の暮しの変化が最大の要因と指摘し、生物多様性に思いを巡らせる重要性を説いた。

1420 研究報告  「外来植物を食べるミヤマシジミ」   
                                   江田慧子氏(帝京科学大学専任講師)

江田慧子帝京科学大学専任講師の研究発表
 帝京科学大学専任講師の江田慧子さんは「外来植物を食べるミヤマシジミ」をテーマにした研究を報告。日本ではコマツナギ(マメ科)がミヤマシジミの幼虫の唯一の食草とされているが、海外ではさまざまな植物が食べられていることに着目し、コマツナギ以外の植物を幼虫に食べさせる実験を行った。その結果、いずれもマメ科のクサフジ、ナヨクサフジ、エダマメ(葉)を食べることが判明。成虫まで生育することができたという。ただ、さなぎの体重はコマツナギの場合より軽く、生育期間も長かったことから「正常な発育であったとはいえない」とした。今後はどのように食草選択が行われているか探るため、母チョウの「産卵選好性実験」を行う考えも示した。

1435 事例報告  「小谷村のギフチョウ・ヒメギフチョウの天然記念物指定」
                                    中村寛志氏(ミヤマシジミ研究会会長)

ミヤマシジミ研究会が生物多様性の保全活動の一環として受託した調査事業を報告.小谷村のギフチョウ・ヒメギフチョウが村の天然記念物指定された経緯と住民の保護活動を紹介.


研究発表会

  下に紹介する5件の活動報告がなされた.

田中浩一ミヤマ株式会社新規事業推進室室長
   
1500 活動報告
   ミヤマ株式会社                              田中浩一新規事業推進室室長

今年の78日に長野市にあるミヤマ株式会社本社で実施されたミヤマシジミ講演会とコマツナギ植栽イベントを紹介.また828日に行われた辰野の荒神山でのミヤマシジミ観察会を紹介したミヤマ株式会社の広報誌ピジョンポス
トを配布.
 
横山地区ミヤマシジミを守る会                                  中村新一会長 
  
横山ミヤマシジミの里作りマップ

伊那市横山地区のミヤマシジミ生息地は現在8か所ある.横山地区の守る会ではこの生息地間にコマツナギを植栽して点から線へ,線から面へ生息範囲を広げていくミヤマシジミの里作り活動を報告.

 辰野いきものネットワーク                                    土田秀実会長   

荒神山の農業用ため池「たつの海」の堤を改修する際に,辰野いきものネットワークでは平成27年度にコマツナギを約300本植栽した.今年に入ってミヤマシジミが対岸から移動してきて定着し個体数が増加したことを報告.
 
上牧里山づくりの会                                       唐木隆夫事務局長 

伊那市の上牧里山づくりの活動を紹介.その一環として人家近くの田畑の畔に生息しているミヤマシジミの保全活動とコマツナギ植栽を行い小学生の環境教育に協力していることを報告.

  
 伊那市ミヤマシジミを守る会                                   岡村 裕会長    

天竜川と三峰川堤防を中心に調査した伊那市の23か所のミヤマシジミ生息地マップを紹介.また伊那市西春近で確認した84種のチョウと珍しいミヤマシジミの青メスや無文様のオス の写真を展示.


総会
総会では次の議題が審議され承認された.また監事の伊那市耕地林務課からH27年度事業と予算の監査報告があった. 

(1)H27年度事業報告
    (2)H27年度決算報告
      (3)H28年度事業計画
78日 ミヤマシジミ講演とコマツナギ植栽 (ミヤマ株式会社)
828日 荒神山ミヤマシジミ講演会と観察会 (荒神山パークセンター)
828日 幹事会 (荒神山パークセンター)
123日 研究発表と総会 
*ミヤマシジミ研究会ブログ充実
*研究会通信 1回 研究発表の記事
*ミヤマシジミの調査・研究活動 
   ・三峰川ゴミ処理施設地保護区(受託研究)
   ・信州大学農学部保護区
   ・各守る会保護活動地域
*生物多様性・絶滅危惧種の調査
・モニタリング1000高山帯のチョウ類調査(受託研究)
   ・小谷村のギフチョウ・ヒメギフチョウの調査(受託研究)
*県外地域のミヤマシジミ保護団体との交流
  ・新潟県十日町水辺の楽校活用協議会,十日町市役所建設課 920日   
(4)H28年度予算案 
(5)その他の意見として,上牧里山づくりの会の唐木隆夫事務局長から各守る会の生息地を見学する機会を設けることが提案され,実施することが承認された.
1630に閉会
ミヤマシジミ研究会公開講演会の報道(長野日報)



                  




参加者に配布した缶バッチキーフォルダー

0 件のコメント:

コメントを投稿